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いくみの創作部屋

お話のエッセンスをお楽しみくださいませ♪

57.  なんとなく・・ラブ   at 2003 11/17

今日もなにやら忙しくメール飛ばしているヤツ。
たまに来てんだから、こっちぐらい向いて話してよね。
「シンタの馬鹿っ!」
って言ったら、手を止めることなく、のんびり言った。
「ご機嫌いかが?、ヒメ〜イ」
あんたって…、
「あっ!、ごめんフリーズした。再起動、さいきど・・」
気が抜け落ちそうよ、怒る自分が馬鹿みたい

PCの状況は、ますます最悪…
今日は、久々のデートだと言うのに、こうして苦戦している。
このままでは、いけない。
「昼、外出る? それとも家?」
と、タイミング良く、声が…
もう1時前だ。
「気分転換しよう」
「んじゃ、出掛けよう。家に居るとコレの事になるし、…待たせてごめんな」


木枯らし吹く街路を行く。
手を繋いで歩く道は、あたたかい。
時々、ドキドキ。
時々、ハラハラ。


信号待ちに、ミカが言う。
「ご馳走してくれるんでしょ?」
「ん、姫の頼みとあらば」
シンタの笑顔、ギュッと力を込める。
「もー調子いいんだから」
それから…

 ※インスピ・ワード
  「壊れている・・ゾッ」
  あたらしもん好きのミカ
  懐古主義のシンタ
  から、繰り出した本日の即興。
58.  がんばる   at 2003 11/28

ぼくは、くじけないぞ!
たとえ、しっぱいがあっても

ぼくは、くじけないぞ!
ちょっとの、ごかいがあっても

これいじょうのじぶんらしいじぶんになれないから

ぼくは、くじけないぞ!
ぼくが、ぼくであるために。
59. 『あ』は、あかねの、あ。  at 2004 01/07

「おめでとう。」
「やぁ、久しぶり。」
「急に呼び出すから、びっくりしたよ。」

学校出てからすぐ越して行った信太と出会う。
頭ボリボリ掻きながら、やたら照れまくる。

「変わんないね、信太って…」
「茜も、変わんねぇ。」

何気ないやりとり、しばらく会ってなかったなんて思えないほど。
幼馴染だもんね。

お隣で、親同士仲良かったし、幼稚園も小学校も中学も同じ。
高校も同じとこ受けろなんて言われるんじゃないかって思ってたけど。急に信太のお父さんの転勤が決まって、だいぶ経つ。

 - * - * -

「さあ、あいうえおを使って言葉を作りますよ…」
先生が、黒板に白チョークで字を書いた。
『あ』と。
「この『あ』を使って。みんな何が思い浮かびましたか?」
みんな口々に何か言って、教室中が騒がしくなった。
先生が、口の前で『しーー。』のポーズをした。
それに気づいて、みんな静かに注目した。

「皆さんが、思い浮かべたものを発表してもらいます。先生が当てたら静かに立って…」
『あ』は、〇〇の、あ。
と黒板に書いて、書いてある字を指しながら言った。
「では、青山さん。」
恥ずかしくて、先生の口の動きばかリ追いかけていた信太が立つ。
「『あ』は、あかねの、あ。」
「よろしいですよ。」

みんな当てられて、いろんな言葉が、黒板に並んだ。
一番初めに、『あかね』って書かれたのが、チョット恥ずかしくて、教科書で顔を隠した。

 - * - * -

信太の思い出、少し顔を出す。
60. 訪ね人  at 2004 02/23

季節が移りゆく
旅がらすさながら
終わりのない道を訪ね歩く

春は
待ってはくれない
いろんな生き物たちを芽吹かせ
新しい命を吹き込む
こころにも花を咲かせよう

夏は
待ってはくれない
山や海が輝いて
弾ける想い
熱い視線感じながら

秋は
待ってはくれない
お祭りワッショイ
美味しいものをほうばって
紅葉が目に映える

冬は
待ってはくれない
落葉した樹肌
雪ちらついて
人の温もり恋し

次の季節を待ちながら
1度だって同じではない
1本道をゆく
61. 季節風 1  at 2004 05/12

氷点下記録の更新に、身体を震わせ暖を取っていた。
外は吹雪。
今日も、外出はおろか表にも出られない。

「どうだい、止みそうかい?」
私の気持ちを察している宿主から、暖かい飲み物を受け取る。
「ダメみたいだわ。」
首をゆっくり横にふる。
うらめしくて、なお更に窓の外を覗う。

「先週は珍しく晴天続きで、良かったのになぁ。」
他の客も独りごちる。
晴れの最後の日に1泊延ばしたのが、運のツキだったのか、
10日ほど悪天候が続いている。

*--

初めての一人登山。
いつもは仲間連れの賑やかな会話も無く。
自分のペースで、思い出の山小屋を目指す。
ナビゲーションなしでは不安だから、近くまで行くケーブルに乗り込んだ。
車窓の景色は、緑の木々が眼に眩しく。所々に季節の花がひっそりと咲いていた。
清々しい風景に、こころが和んだ。
青空の下、持ち物も服も軽装で、晴れ晴れとした気分だ。

駅に降りると、爽やかな春を思わせる風が吹いていた。
小屋まで、徒歩で1時間。1本道を歩いた。
森林の中をゆっくりゆっくり進む、
下界の景色が拡がって見えるところもあって、景色に飽くことがない。
ひとりを良いことに、沢山休憩をとった。
鳥のさえずりが何処からともなく聴こえ、木々の葉がサワサワと揺れる。
ケーブルでは味わえない心地良さだ。
62. 季節風 2  at 2004 05/24

「瑞希っ!」
突然、私の側で大きな声がした。
声がした方を条件反射的に振り向く。
人ごみの中でその主を探すのにキョロキョロしていた。

「瑞希、ここに来てたんだ。」
さっきの声の主の声が近くで聴こえた。
今度こそはと、そちらを覗う。
どこかで観たような顔だった。
けれど、瑞希と呼ばれている人物には見覚えがない。

立ち話している彼らをしばらく見ていた。
用がある訳でもなく、街中を徘徊している身には、
顔立ちの整った彼らを見守るのも、
ただボーっとしているのも、時間潰し以外の何物でもなかった。
知り合いでもないし、、、
と歩き始める。

*--

紫色の野アザミは、綺麗でいて、茎や葉は棘のように尖っている。
草花もゆっくり観察しながら辿る小道は、
季節ごとに違う化粧をして目を楽しませてくれる。
山の空気は澄んでいて、木々から見え隠れする鳥たち、
分かれ道もなく、誘われるように登っていく。

黄昏の小道、という看板が見えてきた。
予定よりも30分程多くかかったけど、
思い出の山小屋へ到着した。
63. 季節風 3  at 2004 06/29

「瑞希が!?」
持っている受話器が、床をたたく。
信じられない一言で、信じたくない事実。

*--

数日前には、笑っておどけて、、いつもと変わらない彼が居た。
「耀子、山から帰ったら、いいものやるよ。」
って、言ってたじゃない。

なかなか晴れない気持ちのまま、篭ってたけど、、
これじゃいけない、って思えるようになったんだよ。
私のこころの大切なところに住んでいるんだもの。
独りじゃない、瑞希の仲間も暖かく見守ってくれてるよ。
前向きに生きなきゃ、ね。
明るい空の下で、約束したもの。

*--

「そろそろ、おさまるかなぁ。」
宿主のつぶやきに、物思いにふけっていた私は、窓外をみた。
にわかに薄明かりが射したような雲行きだ。
他の客も希望の光に見えたのだろうか、表情が明るくなった。
「時間の問題だね。」
荷物をまとめだした。

*--

「耀子さんって言うんだね。」
落とした手帳を届けてくれたのは、瑞希と呼ばれていたその人だった。
ありがとうを伝えないうちに、
「少し話せないかな?」
なんて言う。

そんな出会いが、かけがえのないものに変わっていった。

*--

 ※ 時間を置きすぎたせいもあって、中身がとんでしまいました。
   いろんなエピソード欲しいところですが、
   あとは、みなさまの想像にお任せします。
64. 雨上がり・・  at 2004 07/01

雨音は、ランダムなメトロノーム。
水道の蛇口から零れる音とは違うの。

ボツン、ポツンと、落ちてくる。
降り始めると、変わっていく・・

突然の落雷。
天と地が裂けてしまいそう。
スコールの如く激しく地を叩く。

にわかに雨空も変化していく。
薄暗かった雲もグレー味が抜けてきた。
雨音は、囁くように優しい。
心地よいミュージックのようだ。

ボツン、ポツン・・
晴れ間が覗く。
雲の合間から光が放射状に射しこむ。

見上げると・・
七色の美しい光の帯が架かっていた。
65. うちのおとうちゃん   at 2004 08/01

「お〜い、はやくしろ!」
げんかんさきで、みんながおそいとまちきれず、こえをかけるおとうちゃん。
でも、さっきでかけるぞっていったばかりだよ。
おねちゃんもおかあちゃんもあわててくるまにかけこむ。
そしてだれかがいつもわすれもの。

*--

うちのおとうちゃんは、やさしい。けれど、ときどきとてもこわいです。
こないだのこと…

「ぺちゃくちゃくちをあけてたべないでね。」
って、おかあちゃんがいいました。
いつもより、はなしにむちゅうになっていたので、そのままおねえちゃんとおしゃべりしていたの。
そしたら、
「ひとのはなしは、きくもんや!」
って、おとうちゃん。
たのしいはなしもふきとび、あたりはしずかになりました。

*--

「きょうは、やくそくどうりでかけよか。」
わーい、うれしいな。
なつやすみのえいが、たのしみやったんや、とーっても♪
「かえりは、おいしいもんたべてかえろ。」
よしよしとあたまなでて、おとうちゃんがいう。
せかされんうちに、でかけよ。

1ねん2くみ  せと えみり

*注* 今回は、作文仕立てにしてみました。
66. 雫  at 2004 08/08

ポチャン ポチャン …

水面に 波紋が広がる



何時しか 風が吹く

ヒラヒラと 葉っぱが


そして 静かに 波紋を広げながら

水面に 浮かぶ



ポツン ポツン …

俄かに 空があやしくなって

雨足が強くなる


激しく水面を 叩いていた

雨も 止み


何時しか 辺りが明るくなる

ポチャン ポチャン …

木々の何処からともなく 落ちる雫の音


水面では 変わることなく 起きる 日常
67. さよなら・・  at 2004 09/21

想いのたけを込めて 君と話すオレ


重い沈黙・・


とても長く感じられる時間の帯


「オレたち やりなおせないか」


君の目線は 遠く彼方にある


静かに 流れ留まろうとはしない
残酷な時
愉快で笑い転げた日々ともお別れ・・
そう告げている


「君を悲しませるのが 一番辛い」

君は ふと 気づいたかというようにオレを見る

「話すことないなら そっと行ってくれないか」

君の顔は 戸惑いを隠せずに 複雑になった

しばらくの静けさ・・

彼女は 立ち去る


オレのと もう呼べない君
心を決めよう それが君の選んだ道ならば


さよなら、オレの彼女だった人
好いてる想いだけが残った

頬に熱いものが流れ出す・・
2003年11-2004年9月
57.なんとなく・・ラブ
58.がんばる
59.『あ』は、あかねの、あ。
60.訪ね人
61.季節風 1
62.季節風 2
63.季節風 3
64.雨上がり・・
65.うちのおとうちゃん
66.雫
67.さよなら・・
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